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■プロフィール(Bar 織田)
■Bar 織田の長い一日(Bar 織田)
■桜の季節に桜の花を(リキュール)
■発泡酒とマティーニと(カクテル)
■新地に傘の花が咲く頃(Bar 織田)
■時が焼酎の味をまろやかに(焼酎)
■世界一痛めつけられて育つマディラワイン(ワイン)


プロフィール(Bar 織田)


織田 高央(おだ たかお) プロフィール
「お客様からはおだちゃんとか信長とか言われます。
独立してからは何と呼んでもらえるのでしょう。特に希望はありませんのでお気軽に呼んで下さい。」
 
・西宮市生まれの宝塚市育ち。県立鳴尾高校卒業後、辻学園日本調理技術専門学校(TEC日調)に進む。在学中ヨーロッパの研修旅行等にも参加。またこの旅での経験は、機会があれば思い出をつづりたいと思います。
・日本料理の板前を目指すはずだったが何故かBARの世界へ。
・パレスホテルに入社。戦後の「ミスターマティーニ」と言われた故今井 清氏の伝統を受け継いだ東京皇居前のパレスホテルのロイヤルバーの研修を経て、「レストランパレス大阪 ラ・クール」のBAR「ONDINE」に配属。
・関西を代表するソムリエ笹尾勝義氏のもとでバーテンダーとして修業が始まる。笹尾氏が独立退職後,
(平成の大地震、阪神淡路大震災後)、最年少のチーフバーテンダーに昇格。
・平成12年秋よりレストランのセールスマネジャとして勤務。以前よりe-ビジネスやレストランウエディングに取り組んではきたもののBARカウンターでの仕事の憧れを捨てきれず、この度の開業にこぎつける。

はじめまして…
 
どんな仕事も奥は深いもの。
「敵は自分」との思いで、もう一度小僧からの出発を試みました。
はじめましてBar織田のオーナー織田高央です。
この場をお借りして、今まで育てていただいたお客さまに感謝申し上げます。
本当にありがとうございました。
そして、これからBar織田を支えてくださる皆さま、どうかよろしくお願いいたします。
 
さて、Bar織田が目指すのは「カウンセリングバー」。
美味しいお酒をご提供するのは当たり前。そのための努力は精一杯続けたいと考えています。
ある時は癒し、ある時には癒され、お客さまが気軽に、そしてリーズナブルに
止まり木としてお使い頂けるBARを目指しています。
開店にあたり、内装は木を基調としたクラッシックなBARに仕上がりました。
あまり文章は上手くないのですがお客様との会話や、お酒の雑学などをふまえながらBar 織田日記を続けてたいと考えています。
今後ともお付き合いのほど、よろしくお願い申し上げます。


Bar 織田の長い一日(Bar 織田)


2003年4月1日。いよいよBar 織田のオープン当日だ。
前日は、やはり緊張のせいか睡眠が浅く、まるで子供の頃、遠足に行く前の日のような感じである。
いつもより早めに家を出たが、何だか落ち着かない。店に着くまでに、何度となく「忘れていることがないか」と確認し、いろいろなパターンを想定したシミュレーションを行ってみる。

店に到着し、誰もいない店内に電気を点ける。
「おはようございます 本日よりよろしくお願いします」。まるで誰かに挨拶するように、店内で一人、大きな声を掛けた。身支度を整えてカウンターの中央に座り、今日から始まるこの店で、自分がお客さまに伝えることができるのは何かを、もう一度考え決意を新たにした。

当然のことだが、何よりもお客さまに喜んで頂くことは第一である。
さらに美味しいお酒を楽しんで頂くために、「水へのこだわり」を大切にすることもBar 織田の大切な個性だと考えている。Barなのに水?と思われるかもしれないが、例えばウイスキーは、樽に寝かせている時には60°前後のアルコール度数を保っているのだが、
製造過程で「割り水」をし、40度前後に調整される。日本人は大半が水割りを好む。しかし、実はあまりうまい水割りは飲んでいない、というのが私の持論だ。そこで、Bar 織田では1993年にスコットランドで開催された「ウイスキー500年祭」で公式に認定されたハイランドスプリングを採用した。
この水は、割水と同じ性質を持ち、ウイスキー本来の旨味が味わえる母体の水なのだ。水割りの最初の1杯目に限り、それをフロート状にして提供することにした。まずはかき混ぜずに香りと味わいを楽しんでもらい、その後はかき混ぜて楽しんでいただければ、水割りの文化も保つことができる。このスタイルはBar 織田の自信作だ。
夕方には、九州・鹿児島から名水「財宝」も届いた。
焼酎にはこの水を使うことにしている。 開店時間に間に合ってひと安心だ。

開店の5:30に合わせて照明を整え、ジャズを流し、いつでもお客さまを迎えられる体制が整った。時折、ノックや電話が鳴るものの。いずれも祝電や花が届く連絡だ。ありがたいことに、店内も玄関先も、温かな励ましに満ちた祝福の花で埋まっていた。

しかし、依然としてノーゲストのままだった。実は内心はドキドキしていたのだ。「オープン初日からボウズだったらどうしよう…」という不安がよぎる。開店から約4時間、午後9:00を過ぎた頃、待ちに待って迎えた記念すべき初めてのお客さま第1号は、何と親友だった!遠路遙々景気づけにと駆けつけてくれたのた。 その気持ちが嬉しくてありがたくて、張り詰めていたものが緩み、感激で心が弾んだ。
やがて、みるみるうちにお客さまは増え、いつの間にか賑わいのあるBarに一転。一人ひとりのお客さまに、真剣勝負で渾身の一杯を供し続けるうちに、気がつくと背中には汗が滲んでいた。夢中だった。午前2:30、最後のお客様の後姿を見送った頃には、すっかり足が棒になっていた。


桜の季節に桜の花を(リキュール)


今年は桜の見頃がちょうど4月の一週目。Bar織田のオープンと、同じ頃だ。
ひと昔前の華やかな時代と違い、花見の二次会に北新地に足を運ぶ人々も、今は少ない。

かつては社用族で賑わった永楽通りも、行き交う人はまばらで、まだオープン間もないBar 織田の客足も落ち着いていた。

桜の季節ということで「ヒーリング・チェリー・リキュール」という春らしい名前のリキュールのお話を少し。スピリッツにチェリーを漬けこみ、その色と香味を移す浸漬法で作る、デンマーク産の赤いチェリー・ブランデーのことだ。
自社農園13万本の桜の木から取れる、厳選されたさくらんぼのみを使用している味わい深いお酒だが、13万本といえば、私の自宅に近い桜の名所、夙川も真っ青の本数だ。

このリキュールとジンベースで作る「シンガポールスリング」なら、ご存知の方も多いだろう。爽快な口当たりと、グラスの底に沈む濃厚な赤が、ソーダとともに浮き上がる美しいピンク色が特徴で、特に女性にはお薦めのカクテルである。勿論男性の愛飲家も多い。

あるお客さまが、静かにシンガポールスリングのグラスを傾けていた。気のせいか、少し戸惑っているようにも見受けられた。混ぜて良いものか、そのまま飲む方が良いのかを考えておられたようだ。「マドラーの付いているものは混ぜて良いですよ」と声をかけるとニコッと微笑み、軽くかき混ぜておられる。ご満足いただける一杯になりそうだ。
さて、マドラーとは基本的にはグラスに入ってる果物などを押しつぶす道具である。マドラーの先が平らか球になっている物が本当のマドラーだ。ひと言アドバイスをしておくと、炭酸類が加わっているカクテルはあまりかき混ぜすぎない方がおいしい。

時節のせいかオープン直後とはいえ、店内は落ち着いていたのだが、週末、店を出るときは必ず「ありがとうございました 来週も宜しくお願いします お疲れ様でした」と誰もいない店内で、ひとり大声で挨拶し店を後にすることが習慣になっていた。

外はすっかり明るくなっている。静まり帰った早朝の北新地。
花曇のせいか 天気は思わしくはなかったが、清々しい気持ちで帰路についた。


発泡酒とマティーニと(カクテル)


あぁあ、ついに発泡酒も値上げ。と言ってもBar 織田では発泡酒は、あいにく取り扱っていないのだが、ここで発泡酒のお話を少し。

表向きには4社が揃って増税の反対を続けてきたかに見えるが、実は一枚岩ではない。裏では様々な策略と陰謀があったのでは…と言うのが正直な印象だ。業界にいる者としては、これ以上公表するわけにも行かず少々残念である。この続きの会話は、Bar織田にお越しいただいたお客さまと交わすことにしよう。

さて、誰も彼もが今や発泡酒をビールと呼んでいる。特に家庭においては「あなた冷たいビールあるわよ」と出されるのは、ほとんどが発泡酒だ。居酒屋などでは生ビールと言いながら、発泡酒の樽を使っているところも非常に多いのが現状だ。発泡酒の味は確かに良くなってきたが、これを堂々とビールと呼ぶことには些かの疑問を感じている。とは言え今や発泡酒を馬鹿にはできない。私自身も休日の昼下がりなどには愛飲しているのだ。だが、晩酌にはやはり美味しいビールを飲みたい。

そこでビールと発泡酒を購入する際の秘訣を、一つだけアドバイスしよう。とにかく新鮮な物は旨い。銘柄に囚われず裏面の製造日を確認して、新しい物を購入するに限る。従って新製品は特に狙い目だ。品質を二の次にして、ラベルで飲むようなことは避けたいのがビールなのだ。また、飲食店で生ビールを飲む場合は、ビールサーバー(生ビールを注ぐ機械)がきれいに清掃されているか、樽が熱を持つ機械などの側に置いてないか、良く循環しているか等々がチェックポイント。一度樽を繋ぐと3日が限度である。この点を理解しているとわかりやすい。これからビールの旨い季節になってくる。是非、参考にして頂きたい。日本は四季がある。季節ごとに美味しいお酒も違ってくる。だから面白いのだ。

さて、この季節にもう一つ私がおすすめしたい飲み物、それはマティーニである。マティーニといっても当店でお客様にお出ししている、私が師と仰ぐ酒聖・今井清氏から受け継いだ伝統的な本格マティーニのことではない。自宅でお作りいただける、言わば「かんたんマティーニ」とでも名づけたい手軽なマティーニのことだ。これを飲む時間帯は、個人的には贅沢に日の出頃がお薦めなのだが。(注:私はちょうど日の出の頃、店を出て帰宅し、眠りにつくので…)

■用意するもの…好みのジン・ベルモット、レモン・グラス、氷 各適宜。
■作り方…
  1.グラスに冷蔵庫の氷を入れベルモットを注ぐ。目安は氷の表面が濡れるぐらい。軽く指でかき混ぜ    る。
  2.グラスを反対にして氷だけ残す。
  3.そこにジンを飲みたい分だけ加え、軽く指でかき混ぜる。
  4.レモンの皮を1円玉ぐらいの大きさに削ぎ、半分に折るようにして皮のオイルをグラスに絞り込めば   でき上がり。

実はこの作り方は、氷をベルモットで洗う「ベルモットリンス法」を使った方法。お客さまに出す時にはマドラーを使用する。私はこのマティーニを、自宅のベランダに出て、眼下に阪神競馬場を見下ろしながら飲み、そして寝床に着く。今夜も頑張ろうと決意しながら…。


新地に傘の花が咲く頃(Bar 織田)


ゴールデンウイーク明けの北新地は、予想していた以上の厳しい状況だった。かつて雨の日には「新地傘」が咲き、お客さんとお店の女性が肩を寄り添い歩く姿が何とも粋で、「いつか、ああなれたらなぁ」と憧れたものだが、今やその光景を目にする機会も随分少なくなった。新地にも低料金の居酒屋やキャバクラなどの出店が相次ぎ、街全体の年齢層が低くなったことも理由だろう。

例えば、私がまだ小僧の時代には、大きな通りの真ん中を堂々と歩く事さえ許されなかった。そういう経験をされてきた方もきっといらっしゃることと思うが、時代と共に歴史は塗り替えられていく。今、自分が置かれている時代の中で最高の歴史を作りたい、と気持ちを切り替えることも大切かも知れない。また、こんな時代だからこそ、商品知識をしっかり学び少しでも良い物を提供できればと日々頑張っていることも事実だ。

さて、Bar織田では比較的、月曜、火曜日はゆっくりとした時間が過ぎる。そんな時にはお客様との酒談義が弾む。ここでもう一度Bar織田の3つのこだわりを紹介しておきたい。

まず一つ目は、私が飲んだ事のあるお酒しか置かないということ。当たり前のことだが、自分が飲んだこともないようなお酒をお客さまに勧めることはできない。勿論古酒のワインなどは、2本買って1本飲んでもう1本を売る、ような贅沢なことができない場合もあるが、その場合は、作り手の特徴、地域、品種などを熟考して選び抜いている。現在、Bar織田にはワイン40種類、ウイスキー80種類、ブランデー8種類、スピリッツ15種類、リキュール20種類、焼酎10種類、日本酒2種類、ビール1銘柄を取りそろえている。当然だが、Barには欠かす事ができないアンゴスチュラ・ビターも置いている。ラムにリンドウの根からとる苦味成分ジェンチアンなどを配合したビターのことだが、ドイツ出身の軍医シーガート氏が1824年、ベネズエラのアンゴスチュラの英国陸軍病院で創製し、当時は健胃剤として用いられていた薬でもある。
2つ目は価格の設定である。自分だったら、このぐらいで楽しみたいなぁ…と思う価格で設定できるように、最善の努力をするようにしている。そのため、場合によっては並行輸入の商品をあえて使うこともある。
3つ目はウイスキーの水割りをお出しする場合一杯目は必ずフロートにして出す。これはウイスキーの風味と味わいをまず試して頂きたいからである。一口試して頂ければマドラーでかき混ぜて頂いてかまわない。

これらはいずれもBar織田で、至福のひと時をご提供したいための私なりのこだわりだ。「今夜も、どうか良い夜になるように…」と決意も新たに、今日も私はカウンターに立っている。


時が焼酎の味をまろやかに(焼酎)


「マスターあれ何?」。カウンターの入口近くに置いてある大きな壺を指さして言われる事がある。また、中には不思議そうにご覧になってる方もいらっしゃる。実は沖縄の土で焼いてもらった壺で、中身は熊本の麦焼酎。瓶の焼酎を壺に移し替えると日に日に味が変わるのだ。壺の生産者いわく「波動効果で味が良くなる」とのこと。確かに瓶では粗さが目立つ焼酎の味が、壷に移すことでまろやかに変わるのである。私も一週間に2度ほど、その変化が楽しみでついつい少しずつテイスティングしているほど。他にも店の棚には数種類の焼酎が並んでいる。

ところで、私の郷里は九州の最北端の離島、対馬。この季節、対馬ではスルメイカが旨い。小ぶりのイカは姿のまま煮付けにしても良いし、中にお米を入れて炊きあげるイカ飯も柔らかくて甘みがあって美味。私はお客様の「旨い!」と声を出して言ってもらった瞬間も嬉しいのだが、もっと嬉しいのは、言葉ではなく、食べた瞬間、飲んだ瞬間にそのお客様の顔に微笑みがこぼれる時である。バーテンダーにとっては一杯一杯が勝負。だから、お客さまが満足された表情を見たその瞬間「勝った!」と心の中でガッツポーズをとっている。

対馬には白岳山という日本酒があるが焼酎はない。焼酎は朝鮮半島からの大陸ルートで伝わってきた壱岐の麦焼酎と、独特の風味と特徴のある飲み口で注目を集めている沖縄の泡盛の2つの原点から今に至ると言われている。原料は米、麦、蕎麦、胡麻、芋、サトウキビが有名だが、近年は人参や牛乳、南瓜、わかめ、よもぎ、栗などといった変わり焼酎や、焼き芋の焼酎なども、このブームのお陰で登場している。ただし超有名なブランドの焼酎は、値段があってないような状態で、中には1万円を超えるものもある。ある銘柄の焼酎は、現地の価格が3,000円前後にもかかわらず、関西方面での取引が14,000円と言う場合も。一連のブームの反面、味の奥行きが以前よりも平坦になった品種もあり、また、このような取引では、生産量が合わないのでは?と疑いを持つ銘柄もある。一体、この焼酎ブームはいつまで続くのだろうか。さて、当店で焼酎をお飲み頂く際には、九州鹿児島の「財宝」という名水を使っている。焼酎の原点は水、という私なりのこだわりなのだ。


世界一痛めつけられて育つマディラワイン(ワイン)


恥ずかしい事だがつい最近までマディラワインの理解を間違っていた。
世界の3大酒精強化ワイン ポート、シェリー、そしてマディラ。
だが私の頭の中ではマディラワイン=料理酒であった。
マディラ島の優れた文化継承者としての顔も持っているバーベイト社。
その講習会があり、あまり期待することなく参加した。
淡路島よりひとまわり大きいぐらいだが、1800メートルの山があり、
高さによって違う葡萄品種が育てられている。
島の1/3はサトウキビ畑。これがヨーロッパに砂糖を普及させた。
年間18~25度。最近の寒さを思うととてもうらやましい。
本題のワインだが本当に旨い。
マディラは世界で一番痛めつけられて育つ。
その行程には不思議な事も多い。また棚に並べておいても、味は変わらないと言う。
その中でも1978年のヴィンテージはワールドワインコンクールで選ばれたほど。
干し葡萄やナッツ、チョコレートの相性も抜群。
すぐに注文しBar 織田にも入荷した。
いろいろな不思議を体験しませんか? 

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